LEARN 01 — WHAT IS KABUKI
歌舞伎とは
歌舞伎は、400年以上の歴史を持つ日本の総合舞台芸術です。音楽・舞踊・演技が一体となり、隈取や見得に代表される様式美を持ち、すべての役を男性俳優が演じます。江戸時代に庶民の娯楽として花開き、いまも全国の劇場で上演され続けています。
KEY FACTS
- 1603年頃、出雲の阿国が京都で始めた「かぶき踊り」が起源とされる
- 江戸時代に庶民の娯楽として発展し、演劇として成熟した
- 現在はすべての役を男性俳優が演じ、女性の役は「女方」が担う
- 隈取・見得・花道など、他の演劇にない様式美を持つ
- 2008年、ユネスコ無形文化遺産の代表一覧に記載された

図でつかむ、歌舞伎の舞台
花道、廻り舞台、定式幕——歌舞伎の劇場は、それ自体がひとつの仕掛けです。番号を押すと用語の案内へ進めます。
- 1花道客席を貫く俳優の通り道
- 2すっぽん花道の小さなセリ。妖しいものが現れる
- 3廻り舞台場面を回して転換する
- 4セリ人や大道具を昇降させる
- 5定式幕黒・柿・萌葱の三色の引幕(歌舞伎座の並び)
- 6黒御簾効果音・下座音楽の部屋
- 7大向う掛け声のかかる後方の席
起源と歴史
歌舞伎のはじまりは、1603年頃に出雲の阿国という女性芸能者が京都で披露した「かぶき踊り」だとされています。語源は「傾く(かぶく)」——常識の枠に収まらず、自分の色で堂々と生きる、という意味を持つ言葉でした。
その後、幕府の規制を経て演じ手は成人男性へと移り、江戸時代を通じて演劇として成熟していきます。江戸では力強く豪快な「荒事」、上方ではやわらかく写実的な「和事」——土地ごとの美意識を映しながら、歌舞伎は庶民の娯楽の中心として発展しました。
その「荒事」を確立したのが初代市川團十郎とされ、以来「市川團十郎」の名は、江戸歌舞伎を象徴する名跡として現代まで受け継がれています。
舞台の特徴——花道・定式幕・ツケ
客席を貫いて延びる通路「花道」は、歌舞伎劇場のいちばんの特徴です。役者は観客のすぐ横を通って現れ、去っていく。舞台と客席の境界が溶けて、劇場全体がひとつの物語の場になります。
黒・柿・萌葱の三色を縦に染め分けた引幕「定式幕」は、歌舞伎の劇場を象徴する意匠です。幕が横へ引かれて開く、その瞬間の高揚感も観劇の醍醐味のひとつです。
感情の頂点で役者がぴたりと静止する「見得」には、「ツケ」と呼ばれる木の拍子の音が打ち込まれ、一瞬が絵のように刻まれます。役の性質を色の線で描き分ける化粧「隈取」とともに、歌舞伎独自の様式美をかたちづくっています。
演目の種類——時代物・世話物・舞踊
歌舞伎の演目は、大きく三つに分けられます。武士や公家の世界を描く歴史劇「時代物」。江戸の町人の暮らしや恋を写す「世話物」。そして音楽と踊りそのものを味わう「舞踊(所作事)」です。
一日の興行では、性格の異なる演目が組み合わされるのが一般的です。初めてなら、動きの大きな荒事や華やかな舞踊から入ると、言葉が分からなくても楽しめます。
現代の歌舞伎と團十郎家
歌舞伎はいまも、東京の歌舞伎座をはじめ全国の劇場でほぼ一年を通して上演され、映画や映像配信、SNSを通じて新しい観客と出会い続けています。2008年には、ユネスコ無形文化遺産の代表一覧に記載されました。
市川團十郎家は、江戸歌舞伎を代表する名跡です。市川家が代々磨いてきた十八の演目「歌舞伎十八番」は、得意なものを指す「おはこ(十八番)」という言葉の由来ともいわれます。現在は十三代目市川團十郎白猿がその名を継ぎ、長女・四代目市川ぼたん、長男・八代目市川新之助とともに舞台に立っています。
FROM THE OFFICIAL CHANNEL
KABUKU. / 市川團十郎。歌舞伎とは何かを、本人の言葉で
市川團十郎が語る歌舞伎の始まりと市川家の伝統
2025年8月17日(日)
起源から市川宗家の芸まで、歌舞伎の骨格をひと通り辿る回。この記事の内容を、本人の声で確かめられます。
関連用語
本文に出てきた言葉を、一行の答えから確かめられます。
- 執筆
- D-13編集部
- 公開日
- 2026年8月15日(土)
- 最終更新日
- 2026年8月15日(土)