歌舞伎D-13

THEATRES

歌舞伎に出会える劇場。

歌舞伎は、劇場ごとに違う顔を見せます。東京の大劇場から、江戸の姿を残す地方の芝居小屋まで——旅先で出会える劇場を集めました。公演の有無・演目は各公式サイトでご確認ください。

北から南へ、芝居の旅。

歌舞伎座の正面外観(第五期・2013年開場)
写真: Tak1701d(パブリックドメイン, Wikimedia Commons)
01東京・東銀座

歌舞伎座

明治22年(1889)に開場した歌舞伎の殿堂とされる劇場。現在の建物は2013年に開場した五代目で、唐破風の伝統意匠と高層タワーが一体になっています。ほぼ一年を通じて歌舞伎だけを上演する、世界でも希少な大劇場です。

毎月演目と顔ぶれが替わる「○月大歌舞伎」の興行形式で、一幕見席など初めての人向けの観劇方法も用意されています。

2022年11〜12月、十三代目市川團十郎白猿の襲名披露と八代目市川新之助の初舞台がこの劇場で行われました。2026年7月の「七月大歌舞伎」では團十郎・ぼたん・新之助の親子三人が同じ舞台に立ちました。

新橋演舞場の外観
写真: Tak1701d(パブリックドメイン, Wikimedia Commons)
02東京・東銀座

新橋演舞場

大正14年(1925)、新橋の芸妓による舞踊公演「東をどり」の舞台として開場したとされる劇場。その後の建て替えを経て、歌舞伎・新派・新喜劇からスーパー歌舞伎まで幅広い演目を上演しています。歌舞伎座と並ぶ東銀座の演劇の拠点です。

松竹の劇場として歌舞伎公演が定期的に行われ、現代的な演出を取り入れたスーパー歌舞伎の舞台としても知られています。

十一代目市川海老蔵時代には、毎年1月の「初春歌舞伎公演」「初春海老蔵歌舞伎」に長年出演し、市川ぼたん・堀越勸玄(現・市川新之助)との親子共演の舞台にもなりました。

再整備前の国立劇場の外観(2023年閉場)
写真: 663highland(CC BY 2.5, Wikimedia Commons)
03東京・隼町(半蔵門)

国立劇場

昭和41年(1966)に開場した、伝統芸能の保存と振興を担う国立の劇場。校倉造風の重厚な外観で知られ、歌舞伎・文楽・舞踊などを上演してきました。老朽化に伴う再整備のため2023年10月に閉場し、現在は建て替えの準備が進められています(閉場中も主催公演は他劇場で継続)。

物語を最初から最後まで見せる通し狂言の復活上演や、解説付きの歌舞伎鑑賞教室で知られ、初心者が歌舞伎に出会う入口の役割を果たしてきました。歌舞伎俳優の研修事業も行っています。2025年12月に示された再整備の計画では、2036年3月ごろの新施設引き渡しが想定されるとされています。

南座の正面外観(昭和4年築・登録有形文化財)
写真: Chainwit.(CC BY-SA 4.0, Wikimedia Commons)
04京都・四条大橋東詰

南座

江戸時代初期の元和年間(1615〜24)に始まる四条河原の芝居小屋の流れをくむとされ、日本で最も古い歴史を持つ劇場のひとつです。桃山風の意匠をまとった現在の建物は昭和4年(1929)に建てられ、国の登録有形文化財となっています。出雲の阿国がかぶき踊りを演じたと伝わる地のすぐそばに立ちます。

毎年11月末から12月の「吉例顔見世興行」は京都の年中行事。出演俳優の名を勘亭流で掲げる「まねき上げ」が師走の風物詩です。

2023年12月の顔見世で十三代目市川團十郎白猿の襲名披露が行われました。2026年10月3日〜25日には「市川團十郎特別公演」(『勧進帳』ほか)が予定されています。

道頓堀に立つ大阪松竹座の外観
写真: Mr.ちゅらさん(CC BY-SA 4.0, Wikimedia Commons)
05大阪・道頓堀

大阪松竹座

大正12年(1923)に関西初の本格的な洋式劇場として開場したとされ、ネオ・ルネッサンス様式の大アーチの正面が道頓堀の顔になっています。1997年に内部を建て替え、歌舞伎をはじめとする演劇の劇場として再出発しました。

上方歌舞伎の拠点として「七月大歌舞伎」など歌舞伎公演が長く続けられてきましたが、設備の老朽化のため2026年5月の『御名残五月大歌舞伎』をもって閉場しました。松竹は道頓堀に新たな文化芸能の発信拠点をつくる方針を示しています。

2024年10月、十三代目市川團十郎白猿の襲名披露公演がこの劇場で行われました。

御園座の入口(2018年開場の現劇場)
写真: Asturio Cantabrio(CC BY-SA 4.0, Wikimedia Commons)
06名古屋・伏見

御園座

明治30年(1897)創業とされる、名古屋を代表する劇場。現在の劇場は2018年に高層複合ビルの中に建て替えられ、朱色を基調とした新しい姿で再開場しました。歌舞伎から商業演劇まで幅広く上演しています。

毎年10月の「吉例顔見世」は名古屋の秋の風物詩として親しまれてきました。

2024年2月、十三代目市川團十郎白猿の襲名披露公演がこの劇場で行われました。

明治通り沿いの博多座正面
写真: Hirho(CC BY-SA 4.0, Wikimedia Commons)
07福岡・博多

博多座

平成11年(1999)に開場した九州最大級の演劇専用劇場。歌舞伎からミュージカルまで月替りで多彩な演目を上演し、九州の観劇文化の中心になっています。

毎年6月の「六月博多座大歌舞伎」が恒例で、出演俳優が船で博多の川を進む「船乗り込み」が初夏の風物詩です。

2023年9月、十三代目市川團十郎白猿の襲名披露公演がこの劇場で行われました。

旧金毘羅大芝居(金丸座)の正面外観
写真: 663highland(CC BY 2.5, Wikimedia Commons)
08香川・琴平

旧金毘羅大芝居(金丸座)

天保6年(1835)に建てられた、現存する日本最古の芝居小屋とされる建物で、国の重要文化財。人の力で動かす廻り舞台や奈落、花道など、江戸時代の劇場のしくみをそのままの姿で体験できます。公演のない日は内部を見学できます。

昭和60年(1985)に始まった春の「四国こんぴら歌舞伎大芝居」で全国の歌舞伎ファンを集め、四国路に春を告げる風物詩とされています。2026年は4月10日〜26日に第39回公演が行われました。

八千代座の正面外観(明治43年築・重要文化財)
写真: Asturio Cantabrio(CC BY-SA 4.0, Wikimedia Commons)
09熊本・山鹿

八千代座

明治43年(1910)、山鹿の旦那衆が株を募って建てたとされる芝居小屋で、国の重要文化財。平成の大修理(1996〜2001)を経て、今も現役の劇場として使われています。ドイツ製レールの廻り舞台や、色鮮やかな広告が並ぶ天井が見どころです。

1990年に始まった坂東玉三郎の公演をきっかけに芝居小屋としての再生が進んだとされ、以来、歌舞伎や舞踊の公演が続けられています。

十一代目市川海老蔵時代の2021年・2022年に特別公演が行われ、2021年3月は市川ぼたんの襲名披露を兼ねた親子共演の舞台となりました。

康楽館の正面外観(明治43年築・重要文化財)
写真: 掬茶(CC BY-SA 4.0, Wikimedia Commons)
10秋田・小坂町

康楽館

明治43年(1910)に小坂鉱山の厚生施設として建てられたとされる、和洋折衷の木造芝居小屋で、国の重要文化財。白いレースのような洋風の外観と、桟敷や花道を備えた和風の客席の対比が魅力です。4月から11月はほぼ毎日、常打芝居の公演が行われています。

こけら落としは東京の歌舞伎一座によるものとされ、常打芝居に加えて歌舞伎俳優による特別公演も折々に行われてきました。明治の芝居小屋の空気の中で舞台を楽しめる貴重な劇場です。

出石永楽館の外観(明治34年開場)
写真: 663highland(CC BY-SA 4.0, Wikimedia Commons)
11兵庫・豊岡市出石

出石永楽館

明治34年(1901)に城下町・出石に開場したとされる、近畿地方最古の芝居小屋といわれる劇場。1964年に一度幕を下ろしましたが、復原工事を経て2008年に再開場しました。兵庫県指定有形文化財で、回り舞台や奈落も見学できます。

2008年の再開場は片岡愛之助による杮落し大歌舞伎で幕を開け、以来「永楽館歌舞伎」が但馬の秋の恒例行事として定着したとされています。

内子座の正面(大正5年築・重要文化財)
写真: Suicasmo(CC BY-SA 4.0, Wikimedia Commons)
12愛媛・内子町

内子座

大正5年(1916)、大正天皇の即位を祝って地元の有志が建てたとされる芝居小屋で、国の重要文化財。木造二階建ての客席や奈落が大正時代の姿を伝えます。保存修理工事のため2024年9月から長期休館中で、再開は2029年春の予定とされています(休館中は裏手の楽屋を一般公開)。

歌舞伎や文楽が上演されてきた町の劇場で、休館前は「内子座文楽」など伝統芸能の公演が恒例でした。修理を終えた後も芝居小屋として使い続けることが目指されています。

FROM THE OFFICIAL CHANNEL

KABUKU. / 市川團十郎。

劇場のなかを、映像で

【楽屋紹介】市川團十郎が語る舞台裏|歌舞伎座の鏡台へのこだわり。

2025年6月8日(日)

歌舞伎座の、客席から見えない部分。楽屋という空間が劇場の中でどんな役割を持つのかが分かります。

劇場写真はクレジット表記のとおり、Wikimedia Commonsで公開されているライセンス確認済みの写真(CC BY / CC BY-SA / パブリックドメイン)、または許諾済み素材を使用しています。