歌舞伎D-13

jidaimono

時代物

じだいものhistory plays of the samurai and noble worlds

INSTANT ANSWER一撃回答

武家や公家の社会、遠い過去の出来事を題材とする演目の総称。様式美豊かな大きな演技で、歴史の世界を舞台に立ち上げる。

時代物は、江戸時代の観客から見て遠い世界——過去の事件や、武家・公家の社会に起きた出来事を扱う演目の総称である。『仮名手本忠臣蔵』『菅原伝授手習鑑』『義経千本桜』は三大名作と呼ばれ、人形浄瑠璃から歌舞伎に移された義太夫狂言の代表格として知られる。

同時代の庶民の暮らしを写す世話物に対し、時代物は誇張と様式美を大きく取り入れた重厚な演技で演じられる。歴史の人物に仮託して当代の事件を描くことも多く、虚構の距離があるからこそ描ける真実がそこにあった。

時代物が遠い過去に舞台を借りたのには、幕府が同時代の事件——とりわけ政治にかかわる出来事——をそのまま脚色して上演することを禁じていたという事情がある。元禄の赤穂事件に取材した『仮名手本忠臣蔵』は、南北朝の軍記『太平記』の「世界」に時代を移し、人物の名前も置き換えて上演されたとされる。様式という約束事の陰に、検閲をくぐり抜けるしたたかな知恵が隠れている。

市川團十郎家の荒事は、『暫』や『鳴神』のように時代物の世界を舞台とするものが多い。人間を超えた英雄が悪を払う荒事の様式は、歴史とまつろわぬ力が交錯する時代物の空間でこそ、もっとも大きく花開く。

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