歌舞伎D-13

oshimodoshi

押戻し

おしもどしthe hero who pushes back an evil spirit

INSTANT ANSWER一撃回答

暴れ狂う怨霊や妖怪を、荒事の勇者が花道で押し戻す様式的な場面・役柄。歌舞伎十八番の一つにも数えられる。

押戻しは、花道から暴れ出ようとする怨霊や妖怪を、荒事の勇者が青竹を手に堂々と押し戻す様式的な場面、およびその役柄を指す。『鳴神』や道成寺物などの幕切れに付く演出で、荒事の力が悪しきものを鎮める瞬間を象徴的に見せる。

独立した物語というより「型」として伝わるもので、歌舞伎十八番の一つに数えられている。筋隈に大太刀という荒事の典型的な扮装で、悪を鎮める祈りとしての荒事の性格がもっとも純粋に表れる。

今日この型を体験できる代表が、『京鹿子娘道成寺』に押戻しが付く上演である。恋の執念で蛇体と化した白拍子花子が花道へ暴れ出ようとするその前に、大館左馬五郎が青竹をかざして立ちはだかり、荒事の力で押し戻す。女方舞踊の大曲が、幕切れの一瞬で荒事の世界と出会う趣向である。

押戻しを含む歌舞伎十八番は、市川宗家が家の芸として選び定めた演目群である。荒ぶる力で悪しきものを鎮めるこの型には、市川宗家の荒事の精神がもっとも純粋な形で息づいている。

歌舞伎十八番『押戻』の鎮西八郎為朝。隈取をした荒事の扮装で、竹を手に悪霊を押し戻す八代目市川團十郎
歌川国貞『歌舞伎十八番之内八 押戻 八代目市川團十郎の鎮西八郎為朝』嘉永5年(1852)歌川国貞『歌舞伎十八番之内八 押戻 八代目市川團十郎の鎮西八郎為朝』ボストン美術館(パブリックドメイン, Wikimedia Commons)
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SOURCES

出典・監修

執筆
D-13編集部
公開日
2026年8月15日(土)
最終更新日
2026年8月16日(日)